第3回 カクシンクラウドEXPO2024 in 大阪 について
2024年7月18日、ホテルモントレ大阪にて「カクシンクラウドEXPO 2024 in 大阪」を開催しました。
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今回、参加できなかった皆様にもイベントの雰囲気を感じていただけるよう「カクシンクラウド推進者 Awards」のトップバッターである、スカイポート株式会社の太田さんのお話を「全文書き起こし」の形式でお伝えします。
数字が散らばっていて、何を信用すべきか分からない
皆様、こんにちは。静岡県浜松市から参りました、スカイポートの太田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。プレッシャーを感じて上手く話せないかもしれませんが、お聞き苦しい点がございましたらどうかご容赦ください。
弊社は、管理戸数が1387戸、従業員数はパートを含めて約30名の不動産会社です。賃貸と売買の両方の業務を行っています。私が所属する部署は最も大所帯で、10名が在籍しています。
カクシンクラウドの導入を検討し始めてから約2年が経ちました。導入に至った背景は、数字が散乱していて何を信用すべきか分からず、進捗管理も誰の言葉や、どの記録が正しいのか判断できなかったからです。毎月末や月初めには「死にたい」と思うほど大変で(笑)、このままでは私自身が持たないと感じました。
8種類以上の帳票に、頭を悩ませる日々
実態として、修繕に関するエクセル、付帯商品の資料、契約書類など、数字を収集するだけでも8種類以上の帳票類がありました。さらに、営業担当者の頭の中にある情報もあります。これらをすべて聞き出して、月末や月初めに報告資料としてまとめるのは、非常に労力とストレスがかかっていました。昨日確認した数字が、今日見たら変わっていたり、ミスが見つかったりすることもあり、非常に大変でした。
理想としては、個々の帳票を見なくても数字や状況を把握できるようにしたいです。特に月末・月初の締めを簡素化したいのです。個人や部門の目標達成度を、わざわざ尋ねなくても把握できるようにしたいと考えています。「営業スタッフに聞かないとわからない」という状況をなくし、営業スタッフが気持ちよく外回りできる環境を整えたいと考えていました。また、データの蓄積から始めますが、単にデータが溜まっていく箱ではなく、実際に活用できる状態を目指して導入を決定しました。
「入力が面倒くさい」という反対勢力との戦い
導入にあたり社内で取り組んだことは、まさに「ひぃ」という感じでした。「入力が面倒くさい」という反対勢力との戦いが現在も続いています。お恥ずかしながら、登壇させていただいている私自身も、まだ完全には取り組めていないのが現状です。実際、多くのメンバーがいる中で、営業スタッフの最優先業務は数字をつくることです。どうしても、後工程を担う事務スタッフの気持ちを理解するのは難しい面があります。
そうは言っても、諦めるわけにはいきません。優先順位として、誰にも聞かずに数字管理ができ、時間短縮につながるようにすることに決めました。新しいものを導入すると皆が尻込みしてしまうものです。「また新しいものを持ち込んだのか」と煙たがられがちです。
そこで、カクシンクラウドに関する新しい情報が入ったら、すぐにスタッフと共有し、身近に感じてもらえるよう心がけています。また、入力項目に関して、日々、何か削れないか考えてワークデザインの木村さんに相談しています。入力項目が多いと面倒がられたり、後回しにされてしまうからです。もっとシンプルにできないかを日々追求しています。加えて、完璧を求めたい気持ちを抑えて、現場ではスモールステップとスローペースを許容しています。
最近は、新しいページを追加する際に、併せて簡単なマニュアルを作成し、操作が簡単だと感じてもらえるよう工夫しています。大きなマニュアルから該当する操作を探すのは大変ですし、新しいページの操作に慣れるまでは人に聞かざるを得ません。そこで、時間をかけずにスクリーンショットを貼る程度の簡潔なマニュアルを作成し、配布することで、スタッフが新機能をスムーズに使いこなせるようサポートしています。
3日かかっていた作業が、2〜3時間で完了するように
帳票類に関しては、まだ完全には無くなっていません。しかし、最大の課題であった修繕と仲介の売上管理については、ある程度見通しが立つようになってきました。概ね毎月の着地予想が可能になってきたのです。特に修繕については、細かいものから大きいものまで入力することで、以前は営業担当から報告を受け、経理で集計しないと把握できなかった数字が、今では予測を立てられるようになりました。
結果として、月末の月次締めにおける帳票類の確認作業が大幅に効率化されました。以前は3日ほどかかっていた作業が、現在では帳票とカクシンのデータ、経理から出てくるデータを突合するだけで済むようになり、2〜3時間で完了するようになりました。
特に、個人の頭の中にしかなかったデータが共有されるようになったことが大きな進歩です。月に2〜3件ほど発生していた、人に聞いて回る作業の繰り返しがなくなり、大変助かっています。以前の繁忙期には、毎年修繕の発注漏れが発生していました。申込みが決まったにもかかわらず、修繕が終わっていないケースがありました。しかし、今年の繁忙期はそのような事例が1件も発生せずに乗り切ることができました。
本質的な視点で、メンバーを評価・指導できるように
興味深い発見として、入力を面倒がると予想していた人が実際にはしっかりと入力し、普段は業務をきちんとこなしている人が意外にも入力をしていないケースがありました。このように、各メンバーに対する従来のイメージと実態とのギャップが明らかになりました。結果として、より本質的な観点からメンバーの評価や指導を行うことが可能になりました。
さらに、ステータス管理により完工予定日や修繕進捗が可視化され、放置された入居者相談を修正できるようになりました。「次の入居者への配慮」という意識が芽生え、進捗入力が定着しつつあります。以前はクレーム対応に追われ、記録が不十分でした。これにより状況把握が難しく、対応に時間がかかることもありました。この経験から、スタッフ間で適切な入力の重要性への認識が高まっています。
サポートの事務スタッフは、ダッシュボードに感動しています。「情報が見えることが素晴らしい」といった声があがっています。また、カレンダー機能により、入居日、退去日、内見日が一目で分かるようになりました。そのため、営業に状況を確認せずとも、内勤スタッフが顧客の問い合わせに答えられるようになり、大変喜んでいます。
「後で整理しよう」は永遠に訪れない
道半ばではありますが、最終的には業務が楽になると確信しています。面倒くさがりな人やシステムが苦手な人がいても、それは大きな問題ではありません。日々の業務では、良いことも悪いことも含めて次々と対応に追われるため、つい目の前のタスクをこなすことに必死になってしまいます。その結果、受付から完了までのプロセスが抜け落ちてしまうことがよくあります。後で振り返ると、有用な情報がほとんど残っていないことに気づきます。
「後で整理しよう」と思っても、管理業務の性質上、その「後で」が永遠に来ないのが現実です。日々の業務改善を怠れば、進歩は望めません。カクシンクラウドへの日々の入力が、データの蓄積と改善の促進につながっていると実感しています。この導入期を乗り越えれば、蓄積されたデータを教育と業務改善の両面に活用できると確信しています。
「結果、ラクになる」ビジョンを目指し、粘り強く推進する
弊社では以前Kintoneを使用していましたが、社内にシステムに詳しい人がいても、不動産実務に精通した人がいないと業務の効率化や連携がうまくいかないことがよくありました。ワークデザインの木村さんのように不動産実務に精通した方が意見を取り入れ、サポートしてくださるので、大変助かっています。
推進を担当していると、「データが入力されていない」や「そんな文句ばかり言わなくていいじゃないか」という状況に直面し、心が折れそうになることがあります。しかし、業務が楽になっていく未来が見えているので、今後も粘り強く取り組んでいきたいと思います。
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