第3回 カクシンクラウドEXPO2024 in 大阪 について
2024年7月18日、ホテルモントレ大阪にて「カクシンクラウドEXPO 2024 in 大阪」を開催しました。
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今回、参加できなかった皆様にもイベントの雰囲気を感じていただけるよう「カクシンクラウド推進者 Awards」の二番目の登壇者である、青木ハウジング株式会社 青木さんのお話を「全文書き起こし」の形式でお伝えいたします。
「そんなのわからない」現場の声に耳を傾けた
皆様、こんにちは。青木ハウジング株式会社の社長の青木と申します。この登壇を準備していて、「思い込みからカクシンに」というフレーズが自然と浮かんできました。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、どちらかというと現場主義の不動産屋です。ずっと営業畑で仕事をしてきて、私自身の直感的なアプローチで、感覚的な経営をしていました。過去に、このパッションというか、自分の感性が正しいと現場に押し付けている時期がありました。押し付けられた側の従業員はどう感じていたでしょうか。「そんなのわからない」となりますよね。結果として、これが離職や退職につながってしまっていました。
この経験から、経営者として、人口減少時代における従業員の働きやすい環境づくりを行うことの重要性を認識しました。2014年から日本の人口が減少に転じたと言われる中、従業員が関心を持っていることは3つぐらいです。それは、高い給料がほしい、十分な休暇がほしい、そして残業の削減です。これらの要望をどうにか実現できないかと考えるようになりました。
ぱっと見て状況がわかる、シンプルな情報管理を目指す
私どもは約20人の規模で、地域に根ざした不動産屋として営業しています。横浜線沿線を中心に展開していますが、この地域では不動産業界全体が厳しい状況にあります。そんな中、カクシンクラウドの導入を決めた理由は、「業務の見える化」でした。これまで様々なファイル形式—エクセル、スプレッドシート、Kintoneなど—でデータを管理していましたが、必要な情報を探し出すのが非常に面倒でした。「このデータはどこにあったっけ?」「これは何のファイルだっけ?」と、頻繁に周りに聞いていた状況でした。
そんな時間に余裕がないため、情報を集約して一目で把握できるようなシンプルなものが必要だと感じました。複雑なデータは役に立ちません。私は理論的な思考が得意ではないので、ぱっと見て状況が理解できるものが理想的です。信号に例えると、赤なら止まる、青なら進むという直感的な感覚です。
データに基づき、お客様の要望に適切に応える
また当時は、来店されるお客様のニーズを全く理解していなかったです。本当に自分のイメージを押し付けていただけでした。木村さんと相談した結果、iPadを使ってお客様のデータを収集しながら営業するという案が出ました。そのアイデアを採用し、iPadを使ってお客様のニーズを積極的に聞き取っていきました。このようにニーズを直接聞くことで、間違いを防ぐことができます。自分の思い込みでお客様に押し付けることがなくなりました。
お客様が最も求めているものを理解した上で行動できるため、無駄な時間がなくなります。私のようなパッション的な営業パーソンは、「こんな感じではないかな?」と曖昧な提案をしがちですが、データベースを活用することで、「お客様のニーズはこれで、この提案がぴったり合致します」と具体的に提案できます。やはり、データベースなしでは、お客様の要望に適切に応えることは困難です。
来店を予測し、スタッフの業務を効率化する
普段、平日は社員が外出したりして忙しそうに見えますが、実際には何に時間を取られているのか明確ではありません。日曜日から土曜日までの稼働状況を見ると、問題点が一目瞭然です。お客様が全くいない時間帯があり、ガラガラと空いていて、非効率的な状態になっています。
この右側の図は時間帯別の来客状況を示しています。土日の午前中はお客様がほとんど来店しないため、従業員が朝から待機するのは非効率的です。その時間を利用して現地に赴き、物件の写真撮影などをすれば効率が大幅に向上します。以前は日曜日の朝から忙しいと思い込んでいましたが、実際はそうではありませんでした。この分析により、待機時間を物件撮影に充てるという新しい指示を出すことができ、業務の方向性が変わりましたね。
また、来店されるお客様の傾向分析も重要です。この情報は、私がオーナー向けセミナーでよく活用しています。年に数回開催しているこのセミナーでは、大家さんがデータに強い関心を示すんです。特に、どのようなお客様が来店するのか、どの年齢層が需要が高いのかといった情報を求めています。
また、お客様が当社に来店するまでに何社の不動産会社を訪れたかというデータも重要です。「うちにしか来ていないんですよ」と伝えると、オーナーさんは青木ハウジングを選んで良かったと感じてくれます。つまり、No.1の不動産会社だと認識してもらえるのです。このような情報を視覚的に効果的に提示できれば、非常に有用なツールになると考えています。
データ入力を評価に結びつけて、動機づけに成功
社内での課題として、データ入力が進まないという問題がありました。従業員の最大の関心事はやはりお金のことなので、弊社では営業コミッションの計算から着手しました。「いくら稼げばいくらのコミッションになるか」を明確にし、現在はエクセルではなく、木村さんに依頼してコミッション計算の仕組みをつくりました。これにより、詳細な帳票入力が促進されました。お金が動機づけになるのは当然のことです。入力しなければ報酬が得られないからです。このアプローチが弊社の取り組みの出発点だったと考えています。
統計に基づいたお客様の動向把握について、先ほど言及したセミナーでもお話しています。昔は賃貸情報誌を持参して、おすすめランキングなどを提示していましたが、今はiPadを片手に「こんなデータがあるんですよ」と説明できます。例えば、宅配ボックスやインターネット設備へのニーズがあることがわかります。「これをご覧ください。当社に来店されたお客様のアンケート結果です」と示すと、信憑性が高まり、検討が前に進みます。社内会議でも、以前は「多分こうだろう」という推測が多かったのですが、今はデータを重視するようになりました。
データ経営が、若手の育成や営業力の向上に繋がる
私はもう30年近く不動産業に携わっているので、これまでの顧客との関係性を基に、何となく提案営業ができていました。しかし、世代交代が起こると、うまくいかなくなるんです。言い方は悪いですが、「生意気な二代目の若手が意見してくる」んです。「この設備にこんなにお金がかかるんですか?Amazonで買えば安いですよね」と。
確かにAmazonなら安いでしょうが、それ以上に重要なのは、何がニーズで何が必要なのかをきちんと説明できることです。カクシンクラウドが、まさにその説明の材料になっていると感じます。さらに、新卒や新人でも自信を持ってセールスができるという点が挙げられます。弊社は現在、中途採用を一切行わないという方針で運営しています。実際、今日カクシンクラウドの推進役として来ている社員も新卒入社なんです。やはり、データがあることで、彼らも自信を持ってお客様に提案できるようになりました。
昔は不動産業界で「経験と知識がすべて」と言われていましたが、このツールを使えば、「こちらがおすすめの物件です」と自信を持って提案できるんです。これは今後ますます活用の幅が広がっていくと思います。
現在、弊社ではデータやマニュアルの構築に力を入れています。新卒社員の早期退職は避けたいため、いかにストレスを軽減して営業活動をさせるかが課題です。この点で、カクシンクラウドは非常に有効なツールだと考えています。営業活動が容易になり、行動を起こした際の成果も上がりやすくなるのです。
若手に業務改革を託し、指示は必要最低限に
また、カクシンクラウドの推進役は、我が社の場合、すべて新卒社員に任せました。業界未経験者でも運用可能なのです。私の性格上、口を出すと従業員のやる気を削いでしまう傾向があります。そのため、一切口出しせずに、新卒メンバー4人で様々な構築を行っています。結局のところ、すべてを知っていなければならないわけではなく、わからない点をワークデザインの木村さんにアドバイスをいただければ、このような運用方法も十分に実現可能だと考えています。
私が今後ますます重視していきたいのは、一目で分かる状況と、シンプルで理解しやすいデータです。先ほど例えた信号機のように、データを見るだけで即座に理解できるものが理想です。「止まれ」「進め」「注意」といった明確な指示のように、データを簡素化したダッシュボードが大変気に入っています。
これからも、分からないことがあれば木村さんに相談すればいいと考えています。そうすることで、素晴らしいアイデアが生まれるんです。この点で、木村さんに当社のシステムマネージャーのような役割を担っていただけたら、非常にありがたいと思っています。
※カクシンクラウドEXPO 2024 イベントレポートはこちら: